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2014年 03月 26日

裸電球

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僕が勤め人の時には裸電球をよく使っていた。
使っていたと言うよりも金額的にとても良心的なので多用していたと言った方が正しいだろうか。
1つ何百円なので失敗したって取り替えればいいだけの話しだしね。
ただ、引き渡しを終えて施主から「裸電球ダメ」と言われたことはまだ無い。
最初から「裸電球はNG」と言われた施主なら最初から使わないのですが、
半信半疑でOKだった施主は最終的には裸電球に好感触な方が多いんです。
不思議な魅力があるのかな。
特別感はないんだけど、光がとても美しく見える。
ダウンライトやスポットライトの人工的な光ではない優しさが裸電球にはあります。
部屋ぜーんぶが明るいんじゃなくて明暗がしっかりある感じ。
もちろん、その空間に合う合わないってのもあるんだけど、
積極的に使ってあげても遜色ない照明の1つだと僕は思います。


そんな裸電球をとある現場で使っていた時の話しを今日はしようと思います。
白を基調とした平屋の建物を当時担当していた。
その家はLEDのダウンライトを使う予定だったのだが、見積りをオーバーし減額のためベットルームなどの照明を裸電球に変更した。
クライアントがとても優しいステキなご夫婦だったので着工から和気あいあいと楽しく進めさせてもらった現場でもあった。
そんな現場も完成間近となり役所の完了検査の日となった。
住宅を建てる場合は完成前に建築基準法に合致しているかどうかの役所検査を受けなければいけないからだ。

現場で待つこと数分。
予定時間より若干遅れ気味で50代の検査員が現れたではありませんか。
検査員は謝ることなく私に挨拶がてら

検査員「昔、私も設計をしていたんですよ」

と、いきなりジャブを放ってきました。
心の中で「だからどうした」と言いながら、検査員の機嫌を損ねない程度に対応する私。
ポケットに手を入れながら家内部を見渡した検査員。指摘事項は無しとのこと。
ほっと胸を撫で下ろす私に検査員が帰り際に靴を履きながら言い放った一言がコレだ。

検査員「いやーしかし設計士さん。裸電球を使っているようじゃーダメですね。LEDの時代ですよ。時代に合ってませんよ。」

いまだにこの一言が残っている。
この検査員が悪いと言っているわけではない。
検査員の花柄のネクタイの方が時代に合ってないぜと言いたいわけでもない。
このことが僕はとても勉強になったのだ。
世の中には人それぞれ考えがあって、十人十色であるってこと。
どちらが正解ってのは住宅の設計にはないのである。
住宅設計は「自分的にはこうだ」みたいなものは不要だと思っています。
施主は「何を求めているんだろう」って考えることにつきるのだとも思っています。
私はユリゲラーでも超能力者でもないので100%理解することは難しいし、引き渡し間近のクロスを選んでもらっている時にようやく「お施主さん、こーゆーの好きだったんだなー」って思うこともしばしばある。「もう少しあーしてあげれば喜んでもらえたかな」と考える毎日だ。
これは住宅設計の永遠の宿題みたいなものだろうか。

・施主を理解すること
・正解はないってこと

この2つのことがいつも僕の頭の中をぐるぐる回っているのである。



今日の話しはこれでおしまい。
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by kelu-n | 2014-03-26 19:03 | ケンチク


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